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ピロリ菌感染の診断ってどんな方法があるの?

血清抗体価陽性と言われたら?
ペプシノーゲン法について
胃がんリスク判定(ABC分類)
ピロリ菌感染状態とは

ピロリ菌感染の診断には、除菌治療前の“感染診断”と、除菌治療後の“除菌判定” の2つがあり、現在“尿素呼気試験”という方法が“感染診断・除菌判定”の両方の診断において、簡便で最も信頼度の高い診断方法です。

ピロリ菌感染の診断方法には大きく分けて、内視鏡検査を必要とする方法と内視鏡検査を必要としない方法の2つに分かれます。前者は侵襲的検査、後者を非侵襲的検査といいます。また補助診断法として、内視鏡によるピロリ胃炎の画像診断や、胃粘膜から分泌される消化酵素ペプシンの前駆物質であるペプシノーゲンを採血することで胃粘膜の萎縮度を判定して、胃がんのリスクを評価する方法などが確立されてきました。

1)内視鏡検査を必要とする検査

①迅速ウレアーゼ試験(rapid urease test:RUT)
②組織検査胃
③培養法

2)内視鏡検査を必要としない検査

④尿素呼気試験
⑤抗ピロリ菌抗体検査
⑥便中ピロリ菌抗原検査

3)診断の補助

⑦血清ペプシノーゲン測定(PG法)・胃がんリスク判定(ABC分類)
⑧胃バリウム検査
⑨内視鏡検査

1)の内視鏡検査を必要とする検査は、内視鏡医が知っておくべき知識であり、このサイトでは省略させていただきます。

私は2)の中で、非侵襲的(つまり患者さんに負担のない)でかつ簡単で、迅速で信頼性の高い検査として尿素呼気試験をお勧めします。この検査は感染診断だけではなく、除菌判定にも有用です。

内視鏡を必要としない非侵襲的検査

尿素呼気試験

特別な標識をした尿素(ユービット錠)を100mlの水とともに服用して、飲む前と飲んだ後(20分)に小さな袋を膨らませて、呼気を採取するだけの検査です。
胃内にピロリ菌が存在すれば、ピロ菌のだすウレアーゼという酵素がその尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解します。分解された二酸化炭素はすぐに呼気中に排出されるため、呼気中の標識された二酸化炭素濃度が上昇していればピロリ菌に感染していると診断されます。このユービット錠を用いた専用の測定装置が「POCone」(ポックワン)といって、当クリニックに設置しています。
この検査は、内視鏡を必要とせず、判定時間もわずか25分で迅速で負担の少なく信頼度の高い検査です。また除菌判定にも有用ですので、現在のピロリ菌感染診断と除菌診断には最も優れた診断方法といえると思います。
私が1番にお勧めする理由が分かっていただけいるでしょう。
ただし、この検査を受ける場合は、一部の胃薬(PPI等)を服用していると偽陰性(ピロリ菌がいるのにいないと判定すること)となるため、少なくとも2週間の休薬期間が必要です。

抗ピロリ菌抗体測定法

ピロリ菌感染によって胃粘膜で免疫反応が起こり、ピロリ菌に対する抗体が産生されます。この抗体を測定することで、間接的に感染の有無を診断する方法です。
調べる検体には、血清と尿を主に用います。
 この検査法の長所は、最も手軽に行える検査法で、一度に多くの検体の検査ができるため、検診などのスクリーニング検査で広く用いられています。
 中学校では学校保健法に基づいて、検尿がすべての生徒に実施されていますので、
その尿を用いた本法で高い受診率が期待できます。また検査料も安価で、地方自治体が中心になって取り組んでいるピロリ菌検査は、ほとんどがこの方法です。
また、先に述べた尿素呼気試験と違いPPI(胃薬)の影響を受けないため、検査のためにその胃薬を休薬する必要がありません。
 ただしこの方法は、除菌成功後も抗体が消えるには1年以上かかることもあるため、除菌判定には向いていません。また、信頼性も先の尿素呼気試験に比べて劣ります。ですから、検診で本法で陽性と診断された場合は医療機関に行って、尿素呼気試験による2次試験を受ける事をお勧めします。

便中ピロリ抗原検査

本法は、簡便でピロリ菌の感染診断にも、除菌判定にも有用です。
検便で判定可能で、制度の高い検査法ですので、小児科領域でも使用されています。
本法もPPI(胃薬)の影響を受けにくい検査法です。
ただし、水様便では、便中の抗原が薄まり偽陰性になることがあります。

以上より、除菌後の診断には、尿素呼気試験が1番に推奨され、それができない場合は便中ピロリ菌抗原検査をするべきとされています。
(ピロリ菌除菌治療Pガイド11P)

診断の補助

血清ペプシノーゲン測定・胃がんリスク判定(ABC分類)

 ペプシノーゲン測定法は、血液検査です。本法はピロリ菌感染が原因である胃炎の萎縮の程度を反映します。この血清ペプシノーゲンと血清ピロリ抗体との組み合わせにより、胃がんの発症リスク(危険度)を分類する方法がABC分類といって、胃がんの高リスクだけでなく低リスクの人も明らかにできます。最近普及してきていますが、現時点では保険適応がありません。
また、この方法は胃がんそのものの診断をするものではありません。

血清ペプシノーゲン法ってなに?

ペプシノーゲン測定法は、血液検査です。本法はピロリ菌感染が原因である胃炎と胃粘膜の萎縮の程度を反映します。この血清ペプシノーゲンと血清抗ピロリ菌抗体との組み合わせにより、胃がんの発症リスク(危険度)を分類する方法がABC分類といって、胃がんの高リスクだけでなく低リスクの人も分類できます。最近普及してきていますが、現時点では保険適応がありません。また、この方法は胃がんそのものを診断をするものではありません。

>血清ペプシノーゲン検査(PG法) >胃がんリスク判定(ABC分類)ってなに?

胃バリウム検査

胃粘膜表面像とひだの性状とその分布でピロリ菌感染を疑うことができます。
胃粘膜のひだの分布が狭くて、ひだの太さが3.9mm以上で、粘膜表面が荒い場合はピロリ菌感染胃炎を疑います。
しかし、バリウム検査でピロリ菌感染が疑われても、結局は内視鏡検査を受けて胃炎の診断がなければ、ピロリ菌の検査を保険で受けることはできません。
ですから、私は胃の健診には内視鏡検査をお勧めするのです。

内視鏡検査

近年の内視鏡技術の進歩による画質の目覚ましい向上で、内視鏡所見からピロリ菌感染胃炎(ピロリ胃炎)の特徴が明らかになってきました。

2015年には日本消化器内視鏡学会によって“胃炎の京都分類”が提案されました。
それによると、内視鏡による胃粘膜の所見から

1)ピロリ菌未感染:ピロリ菌に感染したこのない胃=正常胃
2)ピロリ菌現感染:ピロリ菌に現在感染している胃=慢性活動性胃炎
3)ピロリ菌既感染:ピロリ菌感染後高度 萎縮により菌が自然消失したか、除菌後の胃=慢性非活動性胃炎

の3つに分類されます。

自分のヘリコバクター感染状態(H.pylori-status=Stage)を知る

現在ピロリ菌学会の中では、ヘリコバクター感染状態(H.pylori-status)という概念が重要視されています。聞きなれない言葉ですが、わかりやすく言うと、上記“胃炎の京都分類”で定義された以下の3つの状態をいいます。
私はこれをピロリ菌感染期(ステージ)ととらえています。
このStageを知ることで、その人の将来の胃がんリスクが予測できます。

①ピロリ菌に一度も感染したことがない胃:未感染胃(正常胃):Stage1
②ピロリ菌に現在感染している胃:現感染胃(慢性活動性胃炎):Stage2
③ピロリ菌感染後萎縮等により菌が自然消失したか、除菌後で現在はピロリ菌を認めない胃:既感染胃(慢性非活動性胃炎):Stage3

①の未感染胃では、胃がんの発生はきわめてまれで、②の現感染胃では皆さんもうご存知のように胃がんの発生が①に比べて20倍以上高く、当然除菌の治療を受けるべきです。③の既感染胃で萎縮が進んでピロリ菌が住めなくなった胃では②の現感染胃よりさらに胃がんの発生率が高いとされ、除菌後胃は②の胃がんの発生を約3分の1に低下させるも、未感染胃よりは胃がんになりやすい等が判ってきています。
ですから、内視鏡を受けられた方は、“自分の現在の胃が①②③のどの状態の胃であるか(=どのステージであるか)を知ることがとても重要だと思います。
なぜなら、自分の胃のピロリ菌感染状態を知ることで、自分の胃の将来の方向性をある程度知ることができるからです。

②・③の胃なら、毎年必ず内視鏡検査を受ける努力をして万が一胃がんになっても早期がんで発見されれば、内視鏡的に切除することで、5年生存率は約98%と非常に予後が良好です。
そのためには、今後は内視鏡検査を担当する医師も、内視鏡検査とピロリ菌検査を組み合わせて、患者さんに①②③のどの状態の胃であるかをしっかりと説明してあげる必要があると思います。
患者さん一人一人が自分の胃のピロリ菌感染状態を知り、そのステージに合わせて内視鏡検査と治療を受けていけば、日本から胃がんを撲滅するという夢も現実となっていくと思います。しかし最後はやはり、皆さん一人一人が、“自分の命は自分だけのものではない、家族を支え、家族に支えれているんだ、だから胃がんでは死なない”という強い思いが、胃がん撲滅への確実な1歩になるのではないでしょうか。
そしてそのためのピロリ菌除菌は、他のがんの予防よりずっと身近で確実なものなのです。

かなや内科クリニック内視鏡症例集

以下に当クリニックによる、1)2)3)のそれぞれの典型的な内視鏡写真をご覧いただきます。一般の皆さんがみても、ピロリ菌に感染していない胃の粘膜と感染している胃の粘膜が全く違うかおわかり頂けると思います。ピロリ菌に感染している胃の粘膜はいかにも荒れて痛々しい変化がみられるでしょう?
A)の症例①とB)の症例①は同じ50代の方で、年齢はほぼ同じです。ピロリ菌に子どものころから感染していた胃と、全く感染したことの無い胃の粘膜は同年代でもこれほどの違いがでるのです。
ただ、B)群のようにピロリ菌に感染してる方は、これほど胃が荒れていても、症状は軽いことが多く、中には胃のバリウム健診でピロリ菌感染を疑われて初めて受診された方も多いのです。これは、ピロリ菌に感染する時期が幼少時期で、長い間をかけて徐々に胃の粘膜を萎縮させるため、感染者は自分の胃の状態が“そんなものだ”とある意味適応してしまっているからだと思います。しかし、詳しく症状を聴くと、これまで何度も胃がもたれとことがあったり、胃痛があったなどの慢性胃炎の症状を訴える方が多いのです。

A)ピロリ菌未感染の胃:正常胃

症例①
胃粘膜は全体に滑らかで均一で、胃内の粘液は透明で、胃体部大彎のすう壁は細くまっすぐに伸びています。
症例②
正常な胃の粘膜に特徴的な、粘膜上皮下にある集合細静脈が規則正しく配列されるRAC(regular arrangement of collecting venules)という所見がはっきりと見えます。
症例 ③
症例①のようにすう壁が細くまっすぐに伸びていて、未感染胃にみられる胃底腺ポリープも認められています。

B:ピロリ菌現感染の胃:慢性活動性胃炎

症例①
胃のすう壁は腫大・蛇行して、粘液は白濁し、点状発赤がみられる典型的なピロリ菌現感染胃炎の写真です。

症例②
ピロリ菌感染性胃炎の特徴である腺窩上皮過形成性ポリープと胃粘膜の高度萎縮がみられます。

症例 ③
ピロリ菌感染性胃炎に特徴的な腸上皮化生性胃炎と呼ばれるもので、胃粘膜の萎縮にともない無数の灰白色の扁平隆起がみられます

C:ピロリ菌既感染の胃=慢性非活動性胃炎

症例①
ピロリ菌自然消失例
高度萎縮性胃炎

胃の粘膜の明らかな血管透見像(血管が透けて見える)がみられます。

症例②
ピロリ菌自然症失例

症例①と同様胃の粘膜の透過性の亢進と全体に白色褪色調変化がみられます。

D:除菌後胃

症例①
除菌後2年目 地図上発赤例
高度萎縮性胃炎

ピロリ菌除菌後に出現する特徴的所見の一つで斑状にまだらな発赤を認めます。

ただし、内視鏡所見だけでは現感染の確定診断はできず、除菌治療は受けらないため、ピロリ菌感染が疑われた場合は、尿素呼気試験などの感染診断が必要となります。
また、内視鏡所見は除菌判定に用いることはできません。

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